
誰もを納得させるような経営論を語れるほど人間できていない私。ただ小さい会社なりの、0から始める会社なりの、失敗と経験はこの8年してきたつもりでいます。そんな中で、今日起きた“想定内”の出来事。
■友人の定義
よく言う「人脈」というものについて、私はイマイチいい言葉だと思えていないタイプです。何かアクションがあるたびに新しい出会いっていうのはあって、段階を踏んでいけば力のある経営者たちに出会うこともある。それは時間が経てばそうなってくるものだと思っていて、それよりも、最初の何もない頃の自分っていうのを知っていてくれて、さらに今の自分でも付き合いがある人たちっていうのは「友人」っていう括りにしていいと勝手に思っています。
人はどんどん近付いてくるけど、同じぐらい離れる人も多い。事の始まりは、そんな「友人」の1人からの電話。「頼みたいことがあるんだ」っていう話から始まりました。
■答えは「できる」
その友人は、立ち上げの頃の私から今までをずっと見ているので、いいところも悪いところも知ってくれているようです。何か事業の話があれば連絡をくれるし、人の紹介も惜しみなくしてくれたりする。その人の今の状況っていうのもよく分かってはいる。
今回の相談っていうのも、実は過去に何度か同じことを相談されていた。近いところで言えば半年ぐらい前にも。簡単に言うと、フリーランスである自分の仕事を、先方の事情もあって会社として受けなくてはならないから、私の会社の事業部として進めることはできないか、という話です。答えは「できる」。でもそれにはいろいろな段取りをしたいと思うのです。
■段取りにこだわる理由
友達同士って意思の疎通とか、意見交換が難しくないから、仕事として進むのは早いと思う。上手くいけばそれでいいのです。
だけど私は去年、それで失敗している。もっといえば、段取りというものをしていなかったわけではないのです。それでも、友達っていうフィルターが通常の私の段取りレベルを下げてしまった。それによって起こったトラブルは、通常起きるトラブルよりも大きくなりました。思い出したくもないくらい、大きく大きくなった。
■具体的に段取りって何?
分かりやすく役割を明確にしておくには、法的書類(契約書)が1番だと思っています。議事録だとか、メールだとかいろいろ残せるものはあるけれど。結局は最後に何かあった場合、この法的書類によってどうするかを決められる。
通常、企業間の取引であればこれって当然のことで。1円でもお金が動いたり、1分でも動きがある場合は必ず出てくるでしょう。だけど小さい企業の、またそれが身内同士のわーーーっていう中だと、なぜか、大丈夫!みたいになることがあるんですよね。親しい仲でも、そういう仲だからこその契約書。お互い気持ちよく仕事をするための法的書類なんだと思うのです。
■いい話でも自分のお仕事ポリシー外のことはしない
今回の友人からの相談は「できる」。だけど「ちゃんと段取りをしてから」という回答をしました。まぁ先方が急いでいるみたいなので今回は対応できないと思う。友人と、私の会社と、そこにクライアントがいるわけだから、ここを譲らないっていうのは当然だと思っています。
この【うちの会社で事業部をつくる】はわりと前から出ている話だったんですよね。だけど私自身は「なるようになればいい」ぐらいにしか思っていません。いい事業だとは思う。もちろん無碍に断ることもしないけど、追いかけることもしない。友人が責任を持って動くことが出来るのであればウェルカムという姿勢。今回のように、お客さんが出てきました、だからまずは仕事を受けてみて段取りを決めましょう、みたいな流れは、私のお仕事ポリシー外なのです。
自営業ってやっぱり「仕事があってなんぼ」みたいなところがあるから、このポリシーを自分の中で確立するのに時間がかかっちゃった。痛い目にあって改めて刻み込んだ感じです。価値観は人それぞれ。だけど仕事のためと言いつつ、大事なことを見失わないようにしなければと思う今日この頃です。