labo. エルメス手帳の使い方

エルメス手帳をこよなく愛し、時々海外ドラママニア。大人らしく、都会で自由に暮らす。エルメス手帳の使い方を日々研究中。

【本】私のこと、好きだった?:深夜の1人時間を至福と思うか、わびしいと思うか。

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どの世代だって、男だって女だって、みんな抱えているだろう「心の迷い」。自分だけが迷ってるわけじゃなくてみんなそれぞれ迷ってる。でもその迷いは環境や性別、年齢で違っているんだなっていうのがわかる本でした。

 

 ▶︎あらすじ

女子アナとして華やかな世界で生きてきた美季子は、四十二歳になったいまも独身である。大学の同級生だった兼一と結婚した親友の美里は、彼の不倫の果てに離婚。不倫相手と新たな家庭を持った兼一だったが、またもや女性問題でトラブルを起こす。美季子には、兼一への複雑な想いが…。成熟した四十代だからこそ芽生える「心の迷い」を描き出した傑作。

 

30代中盤の私にも十分共感できる描写があって。

 

“時計は十一時半になろうとしている。美季子のいちばん好きな、深夜になる少し前の時間。読みたかった本を読んだり、CDを聞いたりする、ひとり暮らしの女にとって至福の時間である。この時間を孤独でわびしいと思うか、快適な時間と思うかが、独身の女の幸福の分かれ道であろう

 

あ~そうだなって。

“美季子は自分に言いきかせる。とにかく今、自分は幸福になるために最大速度で走り抜かなくてはならないのだ。女にはそういう時がある”

 

思わず頷いてしまった(笑)まずはこの至福の時っていう表現がとても分かってしまうあたりが。別に独身だからってわけでもないとは思うんだけど、この時間って私にとってはすごく大事な時間です。だけど1つ思うのは、例えば恋人がいても、この時間が持てないわけじゃなないとも思っています。そういう時間を一緒に(お互いに)大事にできる恋人だったらいいよね。こういう時間を寂しいとかわびしいと思ったことがありません。きっとそう思えたら、もっと恋愛に全力投球してきたと思う(笑)ここが幸福の分かれ道というか、恋人を探すのが上手になれるかの分かれ道かと。

 

それからこの本のタイトル「私のこと、好きだった?」って。最初なんだ?って思ったのですが、最後まで読むと分かってきます。このキーワードが最初から最後まで繋がっている。誰が誰に向かっていつ投げかける言葉なのか。セリフとしてはもちろん出てくるんだけど、読み終わってみるとこれがずっとベースになったのかなって思う。どの登場人物も誰かに向かって投げかけているんだろうなってシーンがいっぱいあります「私のこと、好き?」ではなくて「私のこと、好きだった?」。きっと全部「うん、好きだったよ」なんだけど、過去の恋愛ってそんなにそんなになの?と思う。

女子アナが主役の一見キラキラ物語っぽいけど、実はしっとり大人の物語でした。

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